インターナショナルヘルスケアクリニック

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ブログ

2017.10.31

薬の取り扱い

その他

内服薬の薬に関して、時々ニュースで取り上げられることがあります。  先日も大手の会社の社員が日本では違法の薬を持ち込んだため問題になったのは記憶に新しいところです。  医療搬送を行う際、患者様に処方されている薬に関して注意をしています。特に処方されている薬の内容と量、これらの薬が日本又は渡航先の国々で持ち込みが可能であるか否かの確認が必要になってきます。 今回はオピオイドに関して、幾つかの媒体で取り上げられていたのでブログに上げたいと思います。

10月25日のBBCニュースと10月27日付のTIME Magazineの サイトにて、アメリカとカナダにおけるオピオイドの使用に関する記事が掲載されていました。オピオイドとは麻薬性鎮痛薬やその関連合成鎮痛薬などの総称で、手術中・手術後の痛み、外傷による痛み、分娩時の痛み(陣痛)、癌による痛み、神経が損傷された後などの慢性的な痛みに対して鎮痛薬として使用され、使用方法は経口、座薬、貼り薬、注射などがあります。副作用は便秘、嘔気・嘔吐、掻痒感、尿閉、眠気、呼吸抑制がありますが、呼吸抑制に関しては、重大な副作用とされていますが、適切に使用する限り問題は起こらないとのことです。  さて、TIME Magazineの記事によりますと、2017年10月26日にトランプ大統領はオピオイドの使用に関して公衆衛生非常事態宣言を発表しました。2016年度、64,070人のアメリカ人がオピオイドの過剰摂取によって亡くなっており、2015年度の52,898人と比較して、1年間で約1万人以上も増えています。オピオイドを使用しての死亡者の内訳は、全体の9%である、837名の方は自殺、つまり意図的にオピオイドを過剰摂取し自身を中毒状態にすることです。その他には、2,533人は原因不明の死亡、35人は外因によるもの、そして残りは事故による過剰摂取が原因との事でした。  一方BBCニュースのサイトでは、100万人に1人の割合で、アメリカでは1日50,000錠のオピオイドが内服されており、その数はイギリスの4倍に達するとのことです。また、アメリカ人のオピオイドの摂取が他国と比較して多い原因として、幾つかの要因を挙げていますが、その主な原因として、医師が処方する薬の量が多いことが挙げられています。  このような状態の要因は、アメリカの保険制度によるもので、アメリカの保険制度は公的負担による医療費の支払いがなく、保険会社が薬以外の治療に対して治療費の支払いを渋るため、必然的に薬の処方量が多くなるとの事です。  では、日本ではどうでしょう。10月30日付のHealth Pressの記事によると、オピオイド鎮痛薬は市販薬としてはほとんど出回っていないため、使用する際は医師の診断が必要となってきます。但し、海外のサイトなどで入手出来てしまう為、簡単に入手することが可能で、痛みが続いてしまうと強い鎮痛作用を求め薬の過剰摂取をしてしまう危険性があります。

今回のオピオイドのケースもそうですが、その他の薬に関しても、薬の効果を求めるあまり、処方されている量以上に摂取し、過剰摂取に陥いった結果命を落とすことがないよう、内服する薬の種類、量に注意する事がとても重要だと思います。

参考文献

The Time Magazine: http://time.com/5000130/opioid-crisis-suicide/BBC News: http://www.bbc.com/news/world-us-canada-41701718Health Press:http://healthpress.jp/2017/10/post-3281_2.html

厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/topics/0104/tp0401-1.html